174センチ、80キロ。
この数値だけを見れば、サッカー選手というよりはラグビー選手に近い。
しかし、彼はれっきとしたサッカー選手だ。
三野智也(20)
岡山県のサッカー強豪校、作陽高校で9番を付けていたこの男。
一体この体形で、どんなプレーを見せてくれるのか?
三野がシドニーへ到着したのは、5月11日。
それから約一週間経った今日、やっと彼のプレーを見る事ができた。
【豪州ソリューソンズ】のほとんどの選手が通過する【シドニー韓国人リーグ】。
(全然走れないので、期待しないで下さいよー)と話していた三野の言葉通り、いくら作陽で9番を付けていたからといって、長い間ブランクがある彼に、僕は正直、あまり期待はしていなかった。
本職はフォワードだが、この試合では左サイドのミッドフィルダーとして出場した三野。
試合開始から約30秒後のファーストタッチで、試合前に彼に抱いていた僕の期待は、良い意味で裏切られた。
確かに身体は重そうだが、往年のウェイン・ルーニーを彷彿させる様な、ゴリゴリドリブルで相手ディフェンダーを抜いていく。
そしてボールタッチも柔らかく、視野の広さもある。
彼がなぜ、作陽で9番を付けていたか十分に納得させられる実力を、短時間で見せつけてくれた。
この試合で見せてくれたパフォーマンスは、全然ダメだったと話してくれた三野。
確かに運動量は少なかったかもしれないが、僕は彼のサッカーセンスに物凄いポテンシャルを感じた。
身体さえ絞れば、NPLの上のリーグでプレーできる可能性も十分にある。
後は本人がどれだけ、それに対してストイックに節制していけるかだ。
大学サッカーに失望し、一度はサッカーを辞めた男。
この男が、再起を誓ったオーストラリアの地で、どこまで這い上がっていけるのか?
引き続き、三野智也のチャレンジを伝えていきたいと思う。
豪州フットボーラーズ