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(オーストラリアサッカー)加藤にとってこの試合が持つ意味とは?

2019.5.22

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FFA Cupの第6ラウンド、State LeagueNepean FCが、NPL1Sydney Olympicに挑んだ試合は、90分で決着がつかず、延長戦までもつれる大接戦となりました。

この試合、サブメンバー中心としたスターティングラインナップを組んできたSydney Olympic

安真也はベンチスタートです。

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Nepean FCに今季から加入した、加藤成幸

オーストラリアでの3シーズン目となる今シーズンは、過去2シーズンプレーしたIllawarra Leagueから、State Leagueへと戦いの場を移してプレーしている彼。

このチームにとって、もはや不可欠な存在だと監督をして言わしめている加藤の存在感は、この試合でも光っていました。

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スリッピーなピッチコンディションの中、ボールを持ったら積極的に一対一を仕掛けるという彼の良さが多く見られた前半。

格下相手に浮足立っているSydney Olympicを相手に、Nepean FCが若干押し気味に試合を進めます。

ピッチ外から見ても、明らかにNepean FCの選手達の方が、エネルギーレベルが高く、大番狂わせを演じてやろうという気迫が伝わってきました。

両チーム共に決定的なチャンスを迎えるものの決めきれず、前半を0-0で折り返します。

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後半に入っても一進一退の攻防が続く中、最初にビックチャンスを迎えたのは、Nepean FC

ディフェンスラインの裏を抜け出したフォワードが、ゴール正面からキーパーと一対一になるものの、狙いすぎて打ったシュートは左ポストの外に。

こういった決定機を確実に決めないと、格上相手には勝つのは至難の業。

これで流れはSydney Olympicに傾くかと思われた、その矢先でした。

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ゴールシーンは撮影できませんでしたが、カウンターからNepean FCが、先制点を挙げます。

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このゴールに、メインスタンドとゴール裏を埋め尽くしたサポーターも大興奮。

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残り時間は約25分。これを守り切れば、格上を相手に大金星を挙げる事ができるという状況。

通常であれば、力関係を考えても、全員守備で1点を固守する戦術に変えてもおかしくはありません。

しかしアドレナリンが身体から噴き出しているNepean FCの選手達に、守り切るというオプションはありませんでした。

押せ押せムードで追加点を取りに行くNepean FC。

刻々とゲーム終了の時間が近づく中で、選手達も勝利という言葉が見えてきた後半35分、ちょっとした隙を突かれ、失点をしてしまいます。

先制点を挙げたときのNepean FCの選手とは対照的にこの同点ゴールに、喜ぶ選手が殆どいないSydney Olympic

勝って当たり前の試合で、ここまで負けていた事自体が、彼らにとって相当な屈辱だったのでしょう。

そしてこのまま、前後半90分が終了。試合は延長戦に突入します。

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90分間ベンチを温め続け、やっと延長になってピッチを踏んだ安真也

左サイドバックのポジションに入ったフレッシュな彼は、正確な縦パスを前線にバシバシ通し、そして前にスペースがあればオーバーラップから鋭いクロスと、さすが!との感嘆詞がでるようなプレーを早々と見せてくれます。

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普段のリーグ戦では経験できない、90分からの世界。

もはや満身創痍ながら、それでも次いつ訪れるかわからないこのビックチャンスを掴むために、身体を投げ出してプレーをし続ける。

サッカーの神様は、そんな加藤に微笑んでくれるのでしょうか?

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PK戦に突入かと思われた、延長後半残り5分、Sydney Olympicが逆転ゴールを決め、試合はこのまま終了。

Nepean FCの選手達の表情からは、手を伸ばせば届くところにきていた勝利を逃した事に対する失望感が、ひしひしと伝わってきます。

クラブ史上に残る勝利を逃してしまった、Nepean FC。

しかし、昨シーズンのNPL1王者を相手に、延長まで行く大善戦を見せてくれた選手達に、サポーター達からは温かい拍手が送られます。

負けはしたものの、この日の主人公は紛れもなく、NPL1のチームを相手に大善戦を見せた、Nepean FCの選手達と言ってよいでしょう。

(加藤成幸の試合後のインタビュー動画)

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ライブストリーミングもなく、サッカー協会のカメラマンもいなかったこの試合。

しかし加藤にとっては、オーストラリアで行った試合の中で、最も重要な意味を持つ試合の一つであった事に間違いありません。

そんな試合に立ち会い、動画と画像を残す事。そしてそれを記事にする事。

これらの事が、彼のこれからの人生にきっとプラスになってくれるはず。

サポートする選手達の価値、ブランドを上げていく為に何ができるか?

常にこれを自問自答しながら、引き続き彼らをサポートしていきたいと思います。

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