NSW State Leagueに所属するHurstville City Minotaursで、2018シーズンを成功裏に終えた、高橋伸。
シーズン終了後にはNPL2のトライアルに参加するものの、大きな壁を感じ、自分がまだそのレベルに達していないという事を、痛感させられる。
元々1シーズンのみの予定で、オーストラリアへチャレンジしに来ていた為、今年の3月に日本へ帰国した高橋。
オーストラリアで全てを出し切り、完全燃焼した上での、ポジティブな気持ちでの帰国になる筈であった。
しかし日本へ帰ってきてみて、オーストラリアでやり残した事に気づく。
それから一カ月後、高橋はオーストラリアの地へ再び舞い戻ってきた。
【2018シーズン、高橋伸のチャレンジ】
昨シーズン同様、Hurstville City Minotaursのユニフォームを身にまとい、オーストラリアのピッチに立った高橋。
彼がやり残した事
【選手として上手くなり、更に上のレベルでプレーする】
この目標に少しでも近づくには、まずはこのチームを勝たせられる選手とならなくてはいけない。
この日の相手は、リーグ首位を走るFraser Park。
自分の力を試せる、絶好の相手だ。
気合満々で試合に臨んだ高橋だったが、前半3分、味方が一発レッドカードを食らい、開始早々10人で戦う事に。
左サイドバックながら、積極的な攻撃参加を得意とする高橋。
しかしこの想定外の退場によって数的不利に陥ったHurstville City Minotaursは守備的にならざるを得ず、彼の得意とする攻撃参加も制限されてしまう。
それでも時折見せる、オーバーラップからの鋭いクロス。
チームを勝たせられる選手になる事、そして上のレベルで通用するパフォーマンスを出す事。
決して簡単ではないが、その為に今、自分はこのピッチ上にいる。
Hurstville City Minotaursの攻撃の中心を担うブラジル人選手、ディエゴ。
多くの外国籍選手が出場した、この試合。
その中でも彼のクオリティーには、目を惹かれるものがあった。
たったの2枠というNPLの外国人枠に対し、外国人枠が無制限のState League。
State Leagueでプレーする外国人選手の中には、NPL1でプレーするオーストラリア人選手よりも、上手い選手がいる事は確かだ。
このブラジル人選手のディエゴだけでなく、中盤でプレーしたフランス人選手も、(クオリティーだけみれば)少なくてもNPL2でプレーできるレベルの選手と言える。
移籍市場
これらのクラブ関係者が、スカウト目的でState Leagueの試合を観に来ることは、ほぼ皆無に等しい。
逆にこのリーグで突出したパフォーマンスを見せている外国人選手達も、どのNPLクラブがどんな選手を探しているかという情報は、リアルタイムに入手する事は簡単ではない。
僕の仕事は、選手を探しているクラブと、クラブを探している選手を結びつける事がメインだが、いくらSMSが発達した時代とはいえ、こういった状況を見る限り、まだまだこの仕事の需要はありそうだ。
試合開始から10分で2点を先制されるものの、PKで1点を返し、前半を1-2で折り返した、Hurstville City Minotaurs。
後半に入ってからも、数的不利を感じさせない攻撃的なサッカーを見せるものの、前がかりになったところで立て続けに失点し、1-5というスコアで試合は終了。
後半中盤までは拮抗した試合を見せていただけに、試合序盤のレッドカードが悔やまれる試合となった。
試合後に開口一番、
【せっかく見に来ていただいたので、負け試合ですみません】
と頭を下げてきた高橋。
サッカーをしていれば、勝つ事もあるし負ける事もある。
僕がこの日、この会場に足を運んだ理由は、高橋の勝ち試合を見に来たのではなく、彼の戦いぶり、そして昨シーズンからの成長ぶりを見に来たのだ。
試合に負けて悔しい中、カメラの前で試合を振り返るのは簡単ではない。
それでもしっかり、自分の言葉で、試合の感想を語ってくれた高橋。
次に行った時は、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか?
謙虚だからこそ成長が期待できる、楽しみな男である。
豪州フットボーラーズ