鹿島アントラーズの試合前日のトレーニングは、試合会場であるパラマッタスタジアムで行われました。
この写真の背景に映っている「We Are Champions」という看板が、またカッコいいですね。多分に運もあったものの、現アジアクラブチャンピオンというタイトルを保持しているワンダラーズに関われているという事は本当に素晴らしい事です。この日はAFCで決めれられている1時間のみのトレーニングという事で、あっという間に終わってしまったのですが、トレーニング終了後、トニーニョ・セレーゾ監督が、トレーニング時間内にできなかったセットプレーでのサインプレーの確認をしたいので、近場でこっそりトレーニングできるグランドはないかと?のいきなりの注文に、スタッフの方達もしどろもどろに。結局グラウンドは見つからなかったものの、どんな手段を使っても勝ち点3を取って帰ってやるという、ブラジル人監督のサッカーへの情熱を垣間見れた瞬間でした。
昼食後、午後に予定されている公式記者会見の場所へ移動。実はこの記者会見、会見の1時間前に急に鹿島のスタッフの方から通訳をやってくれと言われたもので、急いでホテルのフロントでペンとメモ帳を入手し、ラウンジでコーヒーを飲んで心を落ち着かせてから、会見場所へ向かいました。
ホテルのイベントルームで行われた試合前日の公式記者会見、開始10分前に会見場へ入ると、既に多くの日本、オーストラリアのメディアが着席しており、私の心拍数が一気に急上昇(笑)。ここまで来たら、自信を持ってやるしかない!と気持ちを切り替え、席に腰を下ろしました。オーストラリアサッカー協会のスタッフの司会進行でスタートしたこの記者会見、写真左から監督通訳の高井蘭童さん、トニーニョ・セレーゾ監督、そして植田直道選手、そして私といった面子で行われました。、昨年、川崎フロンターレーの通訳を担当した時は、風間監督であったり、中村憲剛選手が私に気を使ってくれて、発言が長くなる場合は、ちょくちょく区切りながら行ってくれたのですが、トニーニョ・セレーゾ監督はブラジル人という国民性なのか、とにかく話が非常に長く、質問以外の事も喋り、ポルトガルから英語へ通訳する日系ブラジル人の高井蘭童さんも、要約もせずに同じぐらいの長さで話した後に、私に順番が回ってくるので、その時点で私の頭は混乱状態。(笑)。それでもなんとか誤魔化しながら、自分が出来る範囲で頑張りました。
それにしても監督通訳の高井蘭童さんは、初対面から只者ではないオーラーを放っていましたが、実際の記者会見でも、まったくメモをとらずにすべての内容を(話す長さからいって多分)訳してしまうところから、彼の通訳のプロとしての凄さを感じ取る事ができました。彼の日本語を英語へと訳する私としては、もう少し要約して短く話して欲しかったというのが本音ですが。(笑)この時は知らなかったのですが、後日、彼の事をネットで調べてみると、なんと2002年の日韓ワールドカップのブラジル代表の通訳を担当していた事が判明!こんな方と一瞬たりとも一緒に仕事が出来て、本当によい経験となりました。
そしてアントラーズの記者会見後、間髪入れずにワンダラーズの記者会面も始まり、今度はトニー・ポポビッチ監督、ニコライ・トポースタンリー選手と同席しました。ポポビッチ監督、そしてトポースタンリー選手の英語はかなり聞き取りやすかったのですが、オーストラリアのサッカー記者であろう、初老男性の低音で早口な英語をスムーズに聞き取れる事ができず、自分の英語力の無さを痛感させられましたが、またどんな形で回ってくるかわからないこの様なチャンスに備え、英語の勉強だけは継続して行っていこうと決心させてくれた、今回のこの記者会見での通訳の経験となりました。
試合は見事アントラーズの逆転勝利で、試合後の記者会見では上機嫌だったトニーニョ監督。会見終了後には席上で、「ワウォー!」という雄叫びを上げながらのガッツポーズで、この試合での勝利の喜びを体全体で表現していました。そしてその後のホテルでのディナー会場では、今回の試合の為にシドニーインしたJリーグチェアマンが、コーチ陣、スタッフ一人一人に握手をして回りながら、今回の勝利に対する感謝の気持ちを伝えていました。
結局鹿島アントラーズは、この次の試合で勝利できず予選敗退。もしアントラーズが引き分けていたらワンダラーズとガンバ大阪というカードが実現していただけに、最終戦でのロスタイムでのアントラーズの失点は、本当に痛かったです。
という事で、4回にわたってお伝えした鹿島アントラーズのシドニーでの滞在レポートを終わらせて頂きます。
豪州フットボーラーズ