待ちに待ったこの瞬間。
この舞台でのプレーを目標に、今まで約5か月間、厳しいトレーニング、そしてリハビリ生活に耐えてきた。
日本から応援してくれている家族、友人がいるからこそ、この異国の地で頑張れている。
Nepean FC 浪田恵莉(20)
2019年6月2日、NPLデビューを飾った。
日本の育成システムで培った、そのテクニック。
柔軟なトラップと相手の逆を取るドリブルで、パワフルなオージー選手達を翻弄していく。
もう一人の日本人選手もデビューを飾るが、SMSには出たくないとの事なので、後ろ姿だけ(笑)。
数多くのオーストラリア代表を生み出して来た名門クラブである、Marconi Stallions。
このクラブが本拠地とする、オーストラリアサッカーの聖地とも呼ばれているMarconi Stadiumが会場となったこの試合で、観客の目を最も引いたのは、紛れもなく浪田のプレーであった。
ポランチのポジションでプレーした浪田。
試合を通じてポゼッションで押され気味だったNepean FCだったが、彼女のロングパスから数少ないチャンスを作り出す。
久しぶりにこのレベルの女子の試合を観戦したが、日本人女子選手では太刀打ちできないと思ってしまう程の、オーストラリア人選手のパンチ力を目の当たりにする事ができた。
この体形にしてパワーがあるのはもちろん、驚くぐらい走れてしまうのが、オーストラリア人選手。
試合を通じて終始、笑顔でプレーした浪田。
ファールをされたシーンでもレフリーが、
【彼女がいくら楽しそうに笑っていようが、ファールはファールだ】
というセリフを、抗議する相手チームの選手に発する程、彼女の笑顔は際立っていたと言えよう(笑)。
ゴール正面からのミドルシュートから、サイドラインを駆け上がってのクロスまで、縦横無尽にグラウンドを駆け回った、この日の浪田。
相手ディフェンダーの執拗なマークにも関わらず、簡単にはボールを失わない。
試合は後半終盤まで0-0で進むものの、残り10分を残してNepean FCが失点。
このまま負けが濃厚かと思われたその時、
相手のハンドでNepean FCがPKを獲得!。そしてキッカーは、
この試合がこのチームでの初出場となる、浪田恵莉。
そして皆の期待通り、ゴールネットを強烈に突き刺すシュートを決める。
この浪田の終了間際の初ゴールもあり、アウェイで貴重な勝ち点1を収めたNepean FC。
浪田にとっても、NPLでのデビュー戦を勝利で飾る事のできた、素晴らしい一日となった事であろう。
しかし敢えて、この日の彼女に注文を付けるとするならば、ピッチ上で常に笑顔でいるのではなく、時には怒りを体で表現し、大声で味方に指示する事も、徐々に身に付けていって欲しい。
それができるようになった時、更に上のステージでプレーできる可能性が、ぐっと近づくに違いない。
豪州フットボーラーズ