2017シーズン到着の最年長チャレンジャー、武内隆司30歳。
関西の強豪、桃山学院大学サッカー部の出身である彼は、徳島ヴォルティスセカンドや関西社会人リーグ等でのプレーを経験。そして2017年6月、サッカー人生の集大成を飾るべく、オーストラリアへやってきました。
僕がシドニーの空港でチャレンジャーをピックアップした際に、まずやる事。それは彼らの呼び名を決める事です。
寺本貴生はたかお、伊奈裕二はゆうじといった形で、ほとんどのチャレンジャーは下の名前で呼ぶのが普通です。しかしたまに、下の名前が同じチャレンジャーが、同時期に一緒になる事があります。そんな時は、上の名前を短くして、岡本潤哉であれば、オカといった形で呼ぶ事になります。
今シーズンは既に、宮崎隆士が【リュウジ】という呼び名を取っていたため、武内隆司には違う呼称を考えなくてはいけない。【タケ】と呼ぶのも何かしっくりこない。【タケちゃん】はどうかな?等々、色々考えた挙句、ポジションも日本代表の内田篤人と同じサイドバックだし、それなら【ウッチー】でいこう!という事になりました。
シーズン途中からのチャレンジ、しかも残された登録期間はわずか3週間。この3週間でチームと契約ができなければ、【ウッチー】の2017シーズンは、所属チームがないまま終わってしまいます。
ちょうど【ウッチー】がシドニーへ渡航してくるタイミングで、守備の選手を探しているチームがありました。リーグ戦で苦戦を強いられているチームなだけに、早急に選手の補強が必要な状況。だからといって、給料を払う価値のある選手だと判断されなければ、契約はできません。
時間がないだけに、何としてでも一回の練習で契約まで持っていきたかった僕。【ウッチー】を連れて行った初回の練習前に、『今日で決めてくれないと、選手を欲しがっている他のチームへ連れて行っちゃうよ』と、監督にプレッシャーを掛けました。
もちろん他のチームへのあてなど、その時点ではありません。しかしこういった駆け引きをしないと、『もう少し見たいから、次の練習にも連れてきてくれ』といった話を、3回、4回と聞くことになるかもしれないのです。
その結果、練習後に無事に契約のオファーを貰う事ができました。
もちろん【ウッチー】が、監督をはじめとする、チームスタッフを納得させるだけのパフォーマンスを見せたからこそ、この契約に繋がったわけです。しかし時には、ピッチ上で選手が良いパフォーマンスを見せても、契約に至らない場合もあります。この話は別の機会にできればと思っていますが、このレベルのリーグでも、時には選手のレベル、パフォーマンスとは関係ない、政治的な理由で選手の獲得が行われるからです。
何はともあれ、【ウッチー】の契約が一回の練習で決まり、僕もホッと一息。しかし契約をしたからといって、すぐに試合に出場できる訳ではありません。
ここから国際移籍の手続きをしなくてはならず、場合によっては1か月ぐらいかかる事もあるのです。
日本では英会話教師として生計を立てていた【ウッチー】。
海外でサッカーをチャレンジする為に不可欠な、【英語でのコミュニケーションスキル】を高いレベルで持ち合わせているだけに、それがプレーの自信に、如実に表れています。
日本で社会人を長年経験しているからこそ、自身の目標が明確で、高いモチベーションを維持しながら、オーストラリアで充実した日々を送っている【ウッチー】。
若いチャレンジャー達の手本となる存在として、今後のオーストラリアでの活躍を、期待したいと思います。
豪州フットボーラーズ