決して派手はプレーはしないものの、自分の役割をしっかりと理解し、忠実にそれを全うする。
それが、この望月信昭という選手である。
Illawarra Premier Leagueに所属する、Port kembla FCの不動の左サイドバックである彼。
2018シーズン、チーム内での【選手が選ぶ年間ベストプレーヤー賞】に選ばれるという、快挙を成し遂げた。
そしてシーズン終了直後、クラブのプレジデントをして【2019シーズンの再契約優先順位ナンバーワン】と公の場で言わしめ、【何が何でも望月と再契約をしたい】という電話が、ひっきりなしに僕のところに掛かってきたという事実。
それが、この男の価値を物語っている。
ノブアキという名前にも関わらず、登録名はNOBI。
この登録名の名付け親は、何を隠そう、この僕なのである。
ノブアキとか、ノブという発音は、イングリッシュ・スピーカーからしたら発音しづらい。
彼らが覚えやすい、呼びやすいニックネームを付ける事も、海外で生活をする上で重要となってくる。
このNOBIという名前、実はジャーナリスト、そして小説家として有名な、落合信彦氏のニックネームである、NOBIからとったものなのだ。
中学時代、落合氏の小説のファンだった僕。
韓国で学生生活を送りながら、先輩から拝借した彼の本を、食い入るように読んでいた記憶がある。
そんな理由もあり、望月がオーストラリアに到着した日、僕の家のダイニングテーブルに座りながら、【お前のオーストラリアでの呼び名は、NOBIでいくぞ!】と、半強制的(?)に、彼に命じたという訳だ。
望月に対する日本人選手の評価も、すこぶる高い。
昨年、Illawarra Premier Leagueの記録を塗り替え、リーグMVPにも輝いた、Wollongong Olympicの上田祐輔も、NOBIの実力を高く評価する選手の一人だ。
傍から見ると、その実力を評価しづらいが、一緒にプレーした選手、対戦した選手には、彼の良さが伝わってくるのであろう。
オン・ザ・ピッチだけでなく、オフ・ザ・ピッチでの、NOBIの振る舞いも、素晴らしい。
サッカー選手にとって自信を持つことは重要だが、その自信に謙虚さが伴ってなければ、周りから相手にされない事は明白だ。
過去にシドニーでプレーしていた日本人選手の中には、サッカーの実力は圧倒的に上手いものの、チームメイトのオーストラリア人選手に対して常に蔑む態度を見せ、結局チームから必要とされなくなったというケースもあった。
その点、NOBIはサッカーの実力だけでなく、チームメイトから彼の人間性も評価されたからこそ、【選手が選ぶ年間ベストプレーヤー賞】受賞することができたと言えよう。
選手達に、もっと謙虚になれ!とは注文はしないし、チーム内でどう振る舞おうが、彼らの自由かもしれない。
しかし、サッカー選手としてだけでなく、人間としても周りからリスペストされ、成長したいのであれば、是非【謙虚である事】を、忘れないでほしい。
そう、このNOBIのように!
豪州フットボーラーズ