2019シーズン、NSW State Leagueの優勝候補としての呼び声が高いNepean FCと、クラブ創立2周年目を迎え、NPLへの昇格に意欲的なSouth Coast Flame FC。
豪州ソリューションズの選手が両チーム合わせて3人出場した両チームの戦いは、終了のホイッスルが鳴る瞬間まで勝負の行方が分からない、白熱した試合となった。
オーストラリアでの3シーズン目を迎え、そのピッチ上での振る舞いからは、精神的な安定感さえも伺える、加藤成幸。
2018シーズン終了後、2019シーズンに向けてトップ下の選手を探しているという連絡が、Nepean FCの監督から僕の携帯に入った。
その際、数人の選手を連れてトライアルに行ったが、そのポジションを見事に射止めたのが、この加藤である。
柔らかなボールタッチと、トリッキーなドリブルを武器とする加藤。
ウォームアップを兼ねた試合前のリフティングにも、余念がない。
NPL3への昇格が絶対条件という、今シーズンのNepean FC。
そういった中で、助っ人である外国人選手として、クラブ側の大きな期待を背負ってプレーしているこの男が、この試合ではどんなパフォーマンスを見せてくれるのか?
そんなワクワクした気持ちで、ゴール裏から彼のプレーを追い続けた。
South Coast Flame FCの大黒柱ある、牛島寛明。
僕自身、South Coast Flame FCでプレーする牛島の姿を見るのは、この試合が初めてだ。
NPL3に所属するクラブからの、好条件でのオファーを蹴って入団した、このクラブ。
選手であれば誰でもが、上のレベルでプレーしたいと思う。
条件が良ければなおさらだ。
それでも牛島が、このクラブを選んだ理由とは?
NPL3のクラブの練習に参加していた際には、【とても窮屈そうに】サッカーをしていた牛島。
周りとの呼吸も中々合わず、孤立しているシーンが多く見られた。
そんな彼が、この試合では水を得た魚のように、ピッチ上で躍動している。
【自分がサッカーを楽しみながら、選手として成長できるチームでプレーしたい】
牛島がこのSouth Coast Flame FC選んだ理由が、まさにそれだ。
もう一人の日本人選手である、大場靖也。
小柄ながら、オーストラリア人選手に当たり負けしない、強靭なフィジカルを持つ彼。
主に前線の右サイドを任されている大場だが、この試合では守備に追われる時間が多く、攻撃での見せ場を中々作る事ができなかった。
サッカーの実力だけで言えば、彼ももっと上のレベルでプレーできる選手だ。
しかし、海外一年目で、そんなにトントン拍子にはいかないと、本人も分かっている。
ここから上へ這い上がっていく為に何が必要なのか?
その答えを探すべく、毎日のトレーニングに励んでる大場。
前半を0-0で折り返した両チーム。
試合が動いたのは、後半の中盤だ。
この牛島の切れ味鋭いドリブルに、相手ディフェンダーがエリア内でファールを犯し、PKを獲得。
このPKをキャプテンが決め、先制点を挙げるSouth Coast Flame FC。
すぐさまNepean FCも反撃に出て、PKを獲得。しかしここでSouth Coastのキーパーがファインセーブを見せ、このまま試合は終わると思いきや、、
ディフェンダーの不用意なファールにより、またもやPKを献上したSouth Coast。
今回はこのPKをきっちりと決められ、同点に追いつかれてしまう。
しかもこのファールが2枚目のイエローカードとなり、残りの時間を10人で戦う羽目に。
そして同点に追いつかれてから数分後、South Coastはまたもや退場者を出してしまう。
9対11の状況では、もはや対等な試合にはならない。
ここから試合終了までの約10分、Nepean FCの怒涛の攻撃を食らい続けたものの、なんとかそれを凌ぎきったSouth Coast。
そして終了のホイッスルが鳴る。
South Coastにとっては、貴重な勝ち点1を取った試合となった。
この試合で素晴らしい活躍を見せ、チーム内のベストプレーヤーに選ばれた牛島。
彼のサッカー選手としての将来が、本当に楽しみである。
試合終盤に、2人の数的アドバンテージを得たのにも関わらず、それを活かしきれなかったNepean FC。
まだ3節が終わったばかりとは言え、昨シーズンは最終節まで優勝争いが縺れた経緯がある。
それだけに、リーグ優勝を絶対目標とするNepeanにとっては、絶対に落としてはいけない試合であった。
混沌とした優勝争いが予想される中、一体どのクラブがNPL3への昇格の切符を手に入れるのか?
Nepean FCがその最有力候補である事には、変わりはない。
豪州フットボーラーズ