National Premier League NSW Men’s１の第2節、初戦を落としているBlacktown Spartandsの相手は、同じく初戦に負けを記録しているRockdale City Suns。両者にとっては開幕2連敗は避けたい、絶対に負けられない戦いとなりました。初戦に続き、佐々木周、中村風太、塩澤智裕の3人の日本人選手は、Blacktown Spartandsのスターティングメンバーに名前を連ねました。
Blacktown SpartandsのホームグラウンドであるBlacktown Football Parkでの、Premier Leagueの一軍の試合は基本的に土曜の夜に行われますが、グラウンドの地理的な場所も関係しているのか、この時間に行われる試合は、本当に肌寒い時が多く、この日も毛布を体に掛けながら観戦している人もいるぐらいでした。そんな季節的には秋とは思えない寒さの中、先手を取ったのはRockdale City Sunsでした。Blacktown Spartandsのディフェンス陣の一瞬の気の緩みを突いて、セットプレーからのヘッドて得点。その5分後にもセットプレーからの流れで得点し、一気に2－0と突き放します。ここまでの試合内容自体は悪くなかっただけに、前半中盤での5分間の2失点に意気消沈するBlacktown Spartandsの選手達の表情がスタンドまで伝わってきます。そんな流れの中、佐々木周がこの悪い流れを一気に変えます。まずは失点から2分後の前半25分、ペナルティーエリア内でのドリブル突破で相手ディフェンダーのファールを誘い、ペナルティーキックを獲得します。
このペナルティーキックを佐々木自ら決め、点差を一点に縮めます。
そしてその2分後である前半27分には、オーストラリア代表歴もあるRockdaleのボランチ、Paul Reidのマークを上手く外し、佐々木周がヘディングでバックネットを揺らし、僅か４分でゲームを振り出しに戻します。
縦横無尽にピッチを駆け回る佐々木周に、Rockdale Sunsのディフェンダー、Manny Giannarosも、後ろから激しく足を入れ、佐々木の勢いを止めようとします。佐々木の瞬発力、運動量に全くついて行けず、もはやファールでしか彼を止める事ができないRockdaleのディフェンス陣。その後、佐々木のスルーパスからDaniel Fogartyが決定的なチャンスを迎えるものの、ボールはポストに当たり、追加点を奪えず、Blacktown Spartandsの流れのまま、後半に突入します。
後半10分、佐々木周のペナルティーエリア付近でのドリブル突破に、Rockdale City Sunsのディフェンダーが足を掛け、これがこの日2枚目のイエローカードとなり、残りの時間、Rockdaleは10人での戦いを強いられる事になります。数的優位となったBlacktown Spartandsは後半21分、佐々木からのパスを受けた中村風太がペナルティーエリア内で左足を一振りし、Blacktown Spartandsがついに勝ち越します。
左サイドバックの塩澤智裕も、守備では相手攻撃陣との一対一では負けない強さ、そして攻撃ではタイミングを見計らってのオーバーラップからのクロスと、攻守に渡り、安定したパフォーマンスを見せていました。
佐々木周のこの体を張ったディフェンス。この日は終始、彼の勝利への執念が、プレーで滲み出ていました。
そして後半32分には、相手の戦意を完全にへし折る一発を沈め、佐々木周はハットトリックを達成します。
試合はそのまま終了し、4-2でBlacktown Spartandsが開幕初勝利、勝ち点３を手中に収めました。
この日のマン・オブ・ザ・マッチはもちろんハットトリックを記録した佐々木周。第2節のベストイレブンにも見事選出されました。彼の凄いところは、中盤のポジション、しかも守備面でも相当な貢献をしながらのこのハットトリックの達成という事です。
この日は、豪州フットボールマネージメント所属の多くの仲間達が、グラウンドに駆けつけ、Blacktown Spartandsの３人に熱い声援を送りました。彼らの活躍を目の当たりにし、他の日本人選手達も更なるモチベーションを得られた事だと思います。この試合の模様を含めた豪州フットボールマネージメントの選手のオーストラリアでの活躍模様は、シドニーの日系フリーペーパーである『Cheers』でも毎月掲載されています。
『Cheers』のデジタル版はこちらからご覧いただきます。
豪州フットボーラーズ