オーストラリアへ来てから2週間目にして、初トライアルに臨んだ井上至臣。
その前日に、草サッカーリーグで90分以上プレーしたものの、疲れをほとんど残さずにこの日を迎えた。
アップ後、直ぐに始まった紅白戦。
自分が得意とするポジションである、右サイドのミッドフィルダーでの出場だ。
試合が始まってみて、気づいた事。
このグラウンドの照明が明るくないという事と、本人の視力がかなり悪いという事が重なり、ボールがよく見えない。
そして試合開始から約15分後、ルーズボールを争う際に、味方選手からタックルを食らう。
幼少の頃からサッカーをプレーしてきたが、味方からタックルを食らうなんて、今までなかった。
これは、自分に対する、オーストラリアサッカーの洗礼と捉えるべきであろうか?
それでも必死にボールを追い続けた井上。
与えられたチャンスを、決して無駄にしたくはない。
他のほとんどの選手達がピッチ内に残る中、前半終了後、交代を命じられた井上。
そしてこの試合で、彼が再びピッチに立つことはなかった。
試合後は、気丈に振る舞っていたものの、その心中は複雑だったに違いない。
この日の苦い経験を、次にどう活かしていくのか?
九州男児の意地を、見せて欲しい。
豪州フットボーラーズ